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和解成立を受けて記者会見する遺族代理人の立花隆介弁護士=2025年6月25日、兵庫県姫路市北条1丁目、東孝司撮影

 兵庫県加古川市立中学校2年の女子生徒(当時14)が2016年にいじめを原因に自死し、遺族が市に約7700万円の損害賠償を求めた訴訟が25日、神戸地裁姫路支部で和解した。市は学校の対応を巡り「原告らの心情を深く傷つけた」と謝罪し、300万円の和解金を支払う。

 市と遺族代理人の双方が明らかにした。

 市教育委員会が設けた第三者委員会の調査結果などによると、生徒は中学1年生の時からクラスや部活で無視や仲間外れなどのいじめを受けた。2年生になってもいじめは続き、16年9月に自死した。

 自死の約3カ月前に実施された学校生活アンケートで、女子生徒はいじめられていることを示唆する回答をしていた。

 和解条項では、この回答を受けて学校が積極的に対応していれば、いじめを認識できた可能性があったと市側が認める。

 さらに自死後に同級生が担任にいじめがあったと申告したのに、第三者委の設置まで学校側が遺族に伝えなかったことなど、市教委と学校の対応を市が謝罪し、和解金300万円を支払う。

 両親は代理人を通して「私たちの悩み・苦しみを理解した裁判所の勧めもあり、一つの区切りとして前を向いて生きていきたいという希望を優先し和解することとしました。裁判を続けて市の責任が認められたとしても娘が帰ってくることはありません」とのコメントを出した。

 岡田康裕市長は「二度とこのような悲劇を繰り返さないため、今後も市をあげて再発防止に取り組んでまいります」などとコメントした。

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両親のコメント全文 「子どもの心の苦しみに気づいて」

 和解成立を受けて、自死した女子生徒の両親が25日、コメントを発表した。全文は次の通り。

 娘は、中学1年生の時から、部活やクラス内でいじめを受け、平成28年9月に、中学2年生の若さで自死をしました。楽しいはずの中学校生活がいじめにより暗いものとなり、さらに自死まで選ばざるを得なかった娘のつらさや苦しみは想像に堪えません。娘の自死から間もなく9年を迎えようとしています。現在も自責と寂しさ、そして学校・加害者への怒りが私たちの胸を強く苦しくさせます。加えて、加古川市から、この事件において「いじめを発見・認識できず法的責任はない」と主張され、二重・三重の苦しみを味わいました。

 その加古川市に対して損害賠…

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